酵母(こうぼ)または
イースト (yeast) は、広義には生活環の大半において単細胞性を示す真菌類の総称である。より一般的には
食品などに用いられて馴染みのある出芽酵母の Saccharomyces cerevisiae を指す。酵母は正式な分類群の名ではなく、いわば生活型を示す名称であり、系統的に異なる種を含んでいるため、厳密に使うには注意が必要である。
発酵に用いられるなど工業的に重要であり、遺伝子工学の主要な研究対象の1つでもある。明治時代に
ビール製法が輸入されたときに、yeast の訳として発酵の源を意味する字が当てられたのが語源であるが、微生物学の発展とともにその意味するところが拡大していった。
基本的には真核で単細胞性の微生物で、運動性はなく、細胞壁を持っている。光合成能はなく、
栄養は外部の有機物を分解吸収することによる。形態的には特徴の少ない円形か楕円形をしている。このような性質の微生物は、ひとまずは酵母と考えられる。これらは出芽または分裂によって増える。また、それによって増殖した細胞が、互いに不完全にくっついて樹枝状を呈する場合もある。
酵母の多くは子嚢菌門に属している。子嚢菌門半子嚢菌綱には、酵母の仲間、酵母的な性質の強いカビなどが含まれる。この類に属する酵母は、細胞そのものが融合する形で接合を行い、その結果、融合細胞の減数分裂によって細胞内に胞子を形成する。つまり、減数分裂によって内性胞子を生じるので、細胞そのものを子嚢と見なすわけである。
しかし、担子菌門に属するものも知られている。同種の菌であっても生活史の中で酵母型と菌糸体型の双方の形をとることすらある。例えばシロキクラゲは担子胞子から発芽すると酵母として増殖し、性の異なる相手と接合すると菌糸体の状態で増殖する二核菌糸となる。
他に有性生殖の知られていない酵母も少なくない。それらは不完全酵母と呼ばれる。